とおこ

大昔に沢井家の祖先に救ってもらった縁から、その後沢井家を守護している牛鬼。
しかし長い間のうちにそれも曖昧になり、とおこ・透の代までくると、もう “たまに遊びにくる親切なご近所のおねえさん” くらいの感覚にまでなってきているが、沢井家は牛鬼への、牛鬼は沢井家への礼を失するようなことは決してない。
とおこは牛鬼の中でも最もぼけーっとした、あるいはおっとりとした気性の持ち主で、人間形態の時は、その性格とぴったりの人の良さそうな顔立ちと大きな胸とが持ち味となり、警戒心ゼロっぽい甘さをぷんぷん漂わせる。

まだまだ青春真っ盛りな年齢の牛鬼のため、七年程度では外見・能力共にさしたる変化はない。
が、透とすみの婚姻と、えみの誕生を目の当たりにしたことにより、
「とおこもあかちゃん欲しい」 「できたら、とおるとのあかちゃんが欲しい」 と、ぼんやり考えるようになってきている。
しかし “人間と共に暮らす＝人間のルールに準ずる” であり、また “おむこさん一人には、およめさん一人” “およめさんは、おむこさんのこどもを産む” という素朴な倫理観を持っているとおこさんは、その願いを口に出してはいけないのだと理解している。